時は今



「ありがとう、親父」

「何がですか?」

「いろいろ。俺が受け止められないものを、親父が受け止めているのかもしれないし」

「僕の方も、僕では受け止められないものを、由貴くんが受け止めてくれていると思ってますよ」

「そう?それならいいけど」

 隆史と話していて少しすっきりしたのか、由貴の表情は落ち着きを取り戻していた。

「じゃ、俺、器楽室戻る」

「由貴くん」

「何?」

「揺葉さん、涼ちゃんが好きな由貴くんのことが好きだったらしいですよ」

「は?」

「由貴くんが簡単に涼ちゃん以外の女の子に心が揺れるようだと、揺葉さんの目には由貴くんは魅力的には映らなかったかもわからないですね。だから由貴くんは自信持っていいと思いますよ」

「……」

「誠実に愛してくれる彼がいいってことなんじゃないでしょうか。現に、四季くんもそういうふうに愛情を傾ける人だったから、揺葉さんは幸せになってますしね」

「あー…。そうなの」

 照れているのか、由貴は頬を赤くしている。

 隆史は笑った。

「あー、やっぱりうちの由貴くん、最高だ」

「…親バカ」

 無愛想に言い捨てて、由貴は歩き始めた。



     *



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