時は今



 忍は柔らかく返答した。

「うっかり変な答え方して四季に誤解させたら困るかな、とは思うけど」

「誤解って…。しないよ」

 それでも何処か不安げな四季に、忍は「四季」と呼びかける。

 四季が振り向くと、忍は軽くキスをした。

 怪我しているので、控えめに。

「……。忍、フェイント」

「今日、まだキスしてなかったから」

「忍が怪我してるからしなかったのに…。痛いんじゃないの?」

「うん。痛いから四季からして」

 忍がお願いすると、四季は唇は避けて頬にキスをしてきた。

 その時由貴が入ってきて、その光景を目の当たりにして──というより、あてられて、という方がより正しい表現か──呟いた。

「……。俺、帰ろうか?」

「…由貴」

「忍が好きだったのは綾川由貴だったって話聞いて、一応心配して来たんだけど。でも心配する必要、もう無いみたいだし。っていうか、玄関で何やってるの」

 この状態がラブラブでなければ何だというのだ。

 家の奥からも、玄関で何をしているのだろうと顔を出した祈が、四季と忍と由貴を見て苦笑した。

「由貴くん、ごめんねー。この子たちラブラブで。でもせっかくだから温まって行って」



     *



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