時は今



 くもり空。雨が降り出す前に、と由貴は急ぎ足で帰って行った。

 忍は四季の様子を窺うように居間に顔を出す。

 四季は何か考え事をしているのか、疲れているだけなのか、目を閉じていた。

「…四季」

 声をかけると、ふっと目を開ける。

 忍がそばに行くと、四季は半分まどろんでいるように忍を見つめる。

「一緒にいたいの?」

「うん。四季は疲れてない?」

「疲れているんだけど…。迷う時、ある。一緒にいて癒される時と、ひとりでいて癒される時があるよね」

「…それは何となくわかる」

「忍も?」

「うん」

 四季が特に一緒にいることを拒絶するような雰囲気ではなかったため、忍はブランケットを持ってくると四季にかけた。

「眠ってて。起こすから」

「さっきと逆バージョン?」

「そうね」

「忍、高遠さんのこと、どうすればいいのか僕も考えるから、忍もひとりで頑張り過ぎないで」

「…うん」

 そう言ってくれる存在がいるだけでも心強い。

 四季はそのまま眠ってしまったので、忍は衣装を作り始めた。

 時計の針が、穏やかな時を刻んだ。



     *



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