時は今
「うん。3年だから。この時期になると、授業も入試に合わせて組んだりしているから、早く帰りたければそういう組み方も出来るんだよ」
「あ…。入試。そうね」
そんな時期だ、と雛子は納得する。四季も白血病で休学していなければ、今頃は秋人と同じように受験に追われる身になっていたはずなのだ。
「──四季、高遠さんと同じ学年なんだよね。元気?」
「うん…」
「もしかして、四季のことで泣いていたの?」
「……」
「あ…。ごめん。輝谷の制服が気になっていたのかと思ったから。違った?」
「ううん。…少しだけ当たってる」
雛子は俯いた。
「四季くん、新しい彼女、いるでしょう?それでどうしても四季でなければダメなのかって口出ししてくる男がいて…。恋に理由は要らないって答えたら、強引にキスされて」
「キス?」
「あ…唇に、じゃないのよ。首筋に。ふざけてるのよ、あの男。俺様だし」
何か言い訳めいた言い方になってしまう。何でこんなこと秋人に話しているのだろう。
雛子は逆に秋人に聞いた。
「秋人くんは?四季くんと会って話したりする?」
秋人は少し痛いような表情を浮かべた。
「真白が四季といろいろあったから…俺も気まずくて。四季にどう説明しても傷つける気がして、入院している時は俺も一度しか四季に会ってない。ここ最近かな、真白が四季ときちんと別れてきたって話してたから、それからメールで話したりはしてるけど」
「…そう」
「メールでは元気そうだったんだけどね。1つ下の子たちの学年になってしまうと、やっぱり人間関係も一からやり直しっていうか…慣れるまでが大変かとも思ったし。まあ、仲のいい従弟がひとりいるっていうから、1つ下の学年にいるのも新鮮って言ってたけど」
「綾川由貴?嫌いよ、あの人。私が四季くんを好きなのが気に入らないのよ」
バッサリである。
相変わらずだね、と秋人は笑った。