時は今
隆史は唸った。
「早瀬の言いっぷりはいつ聴いても小気味いいものがあるね。揺葉さんは可愛いですか?」
『そりゃ可愛いよ。うちの四季だってたまに体調崩したりってことがあるのに、あの子、動じもしないできちんと四季支えてるだろ?前の四季の彼女なんかは、やっぱり重かったのか、持たなかったからね。四季よりも年下だったし無理もないけど』
早瀬の話からは、もうすでに、きちんと忍のことを四季や美歌と同じように「うちの家の子」として扱っている様子が窺えた。
「わかりました。早瀬がここに来るなら、ヴェンツェルさんは何処で待っていてもらった方が?」
『ああ、どうしようかね。あんたはまだ仕事?』
「少しバタバタしてますね。生徒にも頼まれていることがあるので。まあ、少しなら時間も取れますが」
『ああ、無理しなくていいわ。そうだ、何て言ったっけ──白王高校前の次のバス停の近くにカフェがあるだろ、二階建ての』
「恋カフェのことですか?」
『あのカフェそんな名前なの』
「二階建てでガラス張りになってるカフェのことでしょう?恋カフェというのは通称で、本当の名前は別にあるらしいです。オシャレで落ち着く建物だし、特別な日なんかに生徒たちも彼氏彼女を連れて行ったりするみたいですから、そんな呼び名がついたんじゃないでしょうかね」
『詳しいね。あんた、女生徒連れて行ってたりするんじゃないの』
「生徒会の子達とは一度だけ。あの子たちもお疲れですから」
『へぇ…。まぁいいわ。そのヴェンツェルさんとやらをそのカフェにいるように言っといて。わかりやすい建物だから。ああ、私とは話したくないってんなら、それでもいいからさ。こっちは』
「わかりました」
隆史は早瀬の言葉を承ると通話を終了する。
ヴェンツェルには「忍さんのことを話せる人に来てもらえるようですが」と伝えると、ヴェンツェルは通称「恋カフェ」と呼ばれるカフェへの道を隆史に教えてもらい、学校をあとにした。
*