時は今



「難しく考えることはないと思いますよ。どんな人間でも、時に想像のつかない状況に立たされても、どうにかなっていくものなんです。選択したものが正しかったか間違っていたかなんて誰にもわからないものですし」

 その言葉を聞いて、由貴は考えるのをやめた。

 四季と忍のことは自分が気に病んでも仕方のないことだからだ。

「…そうだね。俺が悩んだところでどうなるものでもないし」

「由貴くんは自分のことを考えた方がいいのでは?そのうち他人ごとではなくなりますよ」

「…涼のこと?」

「でしょう?」

「…うん」

 答えはしたが、昨今の忙殺され具合に、由貴はくしゃ、と髪をかき上げる。

「正直に言っていい?」

「何でしょうか」

「俺、とりあえず、文化祭終わるまで、片づけなきゃいけないことが山積みでそれどころじゃないから。涼もそうだし。俺と涼の場合、自分のことも考えられる時間の確保が先決だと思う」

 声をあげて隆史が笑った。

 笑いごとではない。

 生徒会だけで済まされるならまだしも、長い人生、うっかりそういうレールの上を歩んでしまったらどうするのだ。



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