時は今
朝から涼が携帯を見てほのぼのしている。
智はあえてつっこんでみた。
「何ですか、涼さん。携帯がどうかしましたか?」
「昨日会長からメールが来たの」
ノロケか。智は脱力する。
「あー、生徒会のおふたりさんは仕事で忙しいかと思いきや、それなりによろしくはしてるのね。はいはい、ようござんした」
「違うよ。忙しくて最近それどころじゃなかったから、メールが来たのが嬉しかったんだよ」
「…何て内容?」
「文化祭無事終わったら、ふたりで何処かに行こうねって」
「デートじゃないですか」
「うん。何着て行こう…」
「涼さんは何を着ても会長のストライクゾーンだと思いますが」
智は演劇部で使う衣装のほつれをチェックしている。
涼は机から身を乗り出して、向こう側で智のしている手作業を覗き込んだ。
「今だけ手伝おうか?」
ありがたい申し出だが。
「うーにゃ、こんなんまで関わってたら、涼、マジでお前暇なくなるからな。昨日何時に寝た?たまには休んどけ」
「2時だけど…」
「私は0時には休んでるからな」
「うん」
涼はそれでも細かい作業は好きだ。自分の衣装は既に仕上げたのか智のすることを興味深そうに眺めた。
智はといえば──実のところこういう作業に飽きていた。こんな作業をしているより台詞でもしゃべっていたいストレスが鬱積しているのである。
「智、飽きてるでしょ」
涼がちょっと楽しそうににこっとツッコミを入れる。智は首を振った。
「飽きてない!飽きてないからな!」
「嘘。も、こんな作業やだなぁって顔に書いてるよ」
「書いてないって!」
涼がマチバリで智の手元をちょこちょこ攻撃し始めた。智が「だぁぁーっ!」と叫ぶ。
「おい、涼!可愛い顔して何すんだお前!?気が散るだろ、コラ!」
「手伝ってもいい?」
「お前………。あー…。はいはい。手伝ってくり。そんなに言うなら」