お見合い恋愛
「あ」


顔をあげた唯香さんは俺の顔を見て、驚いた顔をした。


「どこかでお会いしたことがあると思ったら・・・」


「あ。ええ、何度か会社で・・・」


そうか。

俺の写真を見ただけじゃ、気づかなかったんだな。

どんな写真を送られたのかわからないけど、ほっとしたような残念なような複雑な気分だ。



「あら?二人とも知り合いなの?」


レストランへと歩き出す母さんがそれを聞きつけて振り返った。


「ん。取引先で・・・ね?」

そう言って、唯香さんに視線を向けると、唯香さんがバツが悪そうに苦笑いしながらうなづいた。

「すみません。お写真と雰囲気が違って、今気がついたんです」

ああ・・・やっぱり、なんかいいな・・・

横目で唯香さんの照れたような仕草を思わず見つめてしまう。
< 22 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop