哀のウタ

「ん...。」

「おぉ、起きたか。おはよう」

少しぼやけて見える視界に
優しく笑う鵺吠の顔が映った。

「おはよ、鵺吠。」

今、何時だろう...

「ああぁぁぁ!!もうこんな時間っ」

目をこすって時計を見ると...

AM11:20

確か今日は...。

「バイトの面接っ!」

前々からお金がなくていろいろ不便だったから
バイトするって言って、
この間、藤崎商事ってとこに電話したんだった。

約束の時間は確か・・・12時!

まずい、まずい。これじゃあ確実に遅刻っ!

「お、おい。・・・あゆ?」

「うるさいっ!面接に遅れるんだってば!」

「あ?面接?お、おまっ、それって・・・」

あー、もうごちゃごちゃうるさいっ!時間がないって言っ・・・

「明日じゃねえの?」

え・・・。今日って何日だっけ?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「大体、お前は慌て過ぎ。俺が起こすんだから今日じゃねえってことくらい気付けっ!」

うー・・・うるさい。はい、そうでした。
案の定、明日でしたよっ。
でもっ!この人は父親ですかっ。
ぶつぶつぶつぶつ・・・まったく

「なんか、言ったか?」

ひぃっ!?

「いっ、いえ!何も言ってません」

あ、危ない。声に出しちゃってた。

< 3 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop