哀のウタ

「ちょっ…鵺吠?!」

「あ?」

いや、あ?じゃないでしょ!!

「お金…っ!てか、どこで飼うの?!」

「金はあるし、俺んちで飼う。」

「お母さんいいって言うの?」

「あぁ、それなら…」

「お客様。お待たせしました。こちらへどうぞ」

結局その後、店員に弾劾のように一方的に説明を受けて、
ちっちゃいキャリーバッグに入った子犬を
連れて帰ることになったんだけど...。

「あの、鵺吠さん...」

「ん?」

「そろそろ教えてもらえませんかね?」

「なにを?」

はぁ?
今、なにを?
って言いましたか?!

「...。」

「なに、拗ねてんの?」

「拗ねてません」

「いや明らかになんか怒ってない?」

こいつ…ウケ狙い?
鈍感なんだよっ!
…って、一人で突っ込んでる私は…はぁ。

「だから、この犬どうすんの?」

「飼う」

知ってるわ!

「鵺吠。」

「あ?」

「馬鹿にしてる?」

してますよね!かんっぺきにナメてます。

「はぁ?してねえよ」

「飼うことくらい分かってるわ!」
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