キズナ~私たちを繋ぐもの~


 家につくと車はなく、家の中にも誰もいなかった。

電話の着信履歴は私がかけた公衆電話だけ。

病院からの連絡もなさそうだ。


何もしたくなくて、部屋に入って着替えもせずにベッドに横になった。

考えたくないと望んでも、頭の中では色んな事が次々と浮かび上がってくる。


これからどうしたらいいんだろう。
司と別れたって言ったら、兄にはなんて言われるんだろう。


バカみたい。

自分が望んだとおりにしているはずなのに、いつもいつも苦しくなる。

目を閉じてじっとしていると、涙が浮かびあがってくる。

ずっと泣いてると眼が腫れちゃうから冷やさないと。
でないと兄に気づかれる。

そう頭では思いながら、重い体を起こすことはできず、私はそのまま意識を手放した。


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