キズナ~私たちを繋ぐもの~


「……ごめんなさい」


私はふらふらと立ち上がり、それだけを呟いて部屋を出た。

自分の部屋に行き、近くにあったカバンを手にとって、何も考えずに家を出る。


ここに居たくなかった。

私たちが、『家族』である場所。


茫然と歩きながら、吹き付ける風の冷たさに、コートを忘れた事に気づく。

けれどもどうすることもできない。
戻ることもできない。

ただあてどもなく、ふらふらと歩く。

車通りの多い道に出ると、数人の若い男の子たちの視線を感じた。
急に怖くなって、私は灯りのある場所を探す。

とりあえず近くのコンビニに入った。

ここなら大丈夫だ。

だけど、ずっと一人でここに居る訳に行かない。

どこに行こうと考えた時にはっとした。

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