キズナ~私たちを繋ぐもの~
「私、……他に行くところ無いんだ」
もう夜中の12時を回ってる。
急に泊めてもらえるほど、親しい友人がいる訳じゃない。
家にも、帰れない。
……兄に手を離されてしまったら、行けるところなんてどこにもないんだ。
「どう、しよう」
焦りから、鞄の中身を探る。
これで何が出てくる訳でもないのに、がむしゃらに鞄の中に助けを求めた。
「……あ」
そうして、携帯電話を見つけた。
夕方、電源を切ったきり。
「……」
私は恐る恐る、その電源を入れてみた。
携帯の機種番号が表示されたあと、待ち受け画面が映る。
画面端に、未読メールを示すアイコンがついている。