キズナ~私たちを繋ぐもの~


「私、……他に行くところ無いんだ」


もう夜中の12時を回ってる。
急に泊めてもらえるほど、親しい友人がいる訳じゃない。
家にも、帰れない。

……兄に手を離されてしまったら、行けるところなんてどこにもないんだ。


「どう、しよう」


焦りから、鞄の中身を探る。
これで何が出てくる訳でもないのに、がむしゃらに鞄の中に助けを求めた。


「……あ」


そうして、携帯電話を見つけた。

夕方、電源を切ったきり。


「……」


私は恐る恐る、その電源を入れてみた。

携帯の機種番号が表示されたあと、待ち受け画面が映る。
画面端に、未読メールを示すアイコンがついている。
< 136 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop