キズナ~私たちを繋ぐもの~


『……綾乃?』


その途端、力が抜けたようになって。私はすがるように司の名前を呼んだ。


「つ、かさ」

『泣いてるのか?』

「司……」


涙を止めることが出来なくなって、近くで雑誌を読んでいた人が驚いたようにこちらを見る。
それでもどうすることもできなくて、ただ司の名前を呼び続けた。

こんな自分が嫌いだと思うけど、それでも自分を捨てれるほど強くもなくて。
優しく差し伸べられる腕に、がむしゃらに手を伸ばした。


『今すぐ行くから。どこにいるんだ?』


電話から、エンジンのかかる音が聞こえた。
司は私から居場所を聞き出すと、すぐに車を走らせたようだった。

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