キズナ~私たちを繋ぐもの~


『もうあなたたちを縛りつけなくて済む』


いや。
置いていかないで。

そうしたらもう、引き止められない。


私は、ずるいの。

兄を縛っているのを、申し訳ないと思いながら、ずっと立ち切れなかった。


……世界が変わる。

司のご両親が、にこやかに笑う。

『お式は盛大にしましょうね。お兄さまもきっと喜ぶわ。苦労してあなたの成長を見守っていたんですものね』


そうだ。

ずっと頑張ってくれた兄を、今度こそ楽にさせてあげなきゃいけないのに。


再び戻る白い部屋。

母が、久方ぶりの笑顔で語る。


『もうすぐ終わるの。この体の痛みも、心の痛みも』


嫌だよ。
そんなこと言わないで。

お願いだから、
置いていかないで。

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