キズナ~私たちを繋ぐもの~

兄は私の頬を流れる涙を唇ですくい取って、そのまま顔じゅうにキスを落とす。


「綾乃の事が、好きだ」


その言葉が胸にすとんと落ちて、私の体中が温かくなってくる。

兄の唇は私の唇を探り当て、すくい取るようにキスをする。

優しく、柔らかく、なぞるように。

やがて段々と深く、熱く。

それは紛れもない、恋人のキス。


「……あ」


ゆっくりと動く兄の掌は、肩から背中、そして胸元へと場所を移す。
私の声に、一瞬手を止めて唇を離す。


「嫌か」

「う、ううん」

「もう、我慢できない」

「……」

「抱きたい」

「……うん」


どさりと、ベッドに落とされる。
兄が明かりを消して、ゆっくりと私の上にのしかかる。

貧弱な作りのパイプベッドが、
ぎしり、と音を立てた。

ずっと一緒にいたけれど、こんな風に近付いたと感じた事はなかった。

< 309 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop