キズナ~私たちを繋ぐもの~


「い、いいよ。お兄ちゃん。貸衣装だって着物って高いんだよ。着付けとかだってあるし」

「他の友達が皆着物着てくるのに、お前だけスーツって訳にいかないだろう」

「いいの。無駄遣いしないで」

「いいから」


俺たちの押し問答を眺めていた店員は、慌てて割って入ってくる。


「まあそうおっしゃらずに見るだけでも。どうぞ奥へ進んでください。お振り袖ならこちらのコーナーです」


連れて行かれた一角には着物が所狭しと並べられていた。

そのうちの一枚、ピンクの地に小花と蝶があしらわれた着物に、俺は目を奪われた。


「これ、綾乃に似合いそうじゃないか?」

「まあ、お客様お目が高い。……あらでも、申し訳ありません。こちらはもう予約済みになっていまして」

「え?もう」

「早い方ですと、1年前にご予約されてしまうんですよ。そうですね、半分ほどは予約されてますね」

「……そうですか」


思い付くのが、おそかったのか。
なんとなくガックリきて頭を垂れると、後ろから視線を感じた。
振り向くと綾乃と目があって、俺は情けなさにとらわれる。

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