キズナ~私たちを繋ぐもの~
「すいません。午後の会議で使うもので」
「ええ。もういいですか?」
「はい。あ、でもついでに教えてもらいたいことがあるんですけど。えーと、西崎さん?」
「あ、はい」
胸につけている名札を見て、彼がそう言う。
そしておもむろに名刺を出されたので交換する。
「里中さん……ですか」
「ええ。実はプリンターを何台か入れ替える話もあって。先日営業さんに来てもらったんですけどイマイチ分からなくて。
この製品と、一世代前のこの製品とのもっとも具体的な違いはなんですか」
「ああ、それは……」
彼はどうやら営業部の中でも機械に強い方とされているらしく、備品系の調達に一役かっているらしい。
俺もそれほど説明上手ではないのだが、彼は根気強く質問を繰り返し、10分後納得した顔で頷いた。
「ようやく分かりました。営業さんに聞いても上手く言いくるめられてしまうので。実際に触ってる人の意見が聞きたかったんですよ。ありがとうございます」
「いえ、お役に立てましたか」
「ええ。これからもよろしくお願いします」
にっこり笑うと、そのままデスクの方へ戻って行く。
感じがいい男だな、なんて思いながら、俺はプリンターのメンテナンスを再開した。