キズナ~私たちを繋ぐもの~
「良し、これで終了」
全てのチェックを終え、再び経理部に戻り挨拶をすませる。
少し終業時間を過ぎたがまあ恩の字だろう。
後は会社に電話を入れて直帰にしようか。
そうすれば綾乃より先に帰れるかもしれない。
エレベータ内で計画をたて、1階についたところで顔を上げる。
すると、先ほどの男と再び出会った。
「あ、西崎さん」
「里中さん」
「終わりですか? お疲れになったでしょう。
珈琲でも飲みませんか? 奢りますよ」
「いえ、仕事ですから」
「いやいや、行きましょう」
穏やかな割には強引な口調に乗せられて、いつの間にか俺は里中さんと珈琲を飲んでいた。
いくつなのだろう。
俺よりは年下に見えるが、妙に自信ありげというか強引というか。
「旨いでしょう? 俺ここの珈琲好きなんですよ」
「ええ」
どことなく英治に似てるんだよな。
人を自分のペースに巻き込むのがうまいところとかもそっくりだ。