琥珀色の誘惑 ―王国編―

(17)恋は盲目

その時、舞はハタと気付いた。


「ちょっと待って! ソレとコレは別でしょ?」

 
仮に、ラシード王子の好意を踏み躙った日本人女性がいたとしても、だ。彼女らの罪を舞が背負う必要も、償う義務もないはず。後宮にまで忍び込み、舞を襲っていいという理由にはならない。

それを指摘されるとラシード王子も「ウッ……」と言葉に詰まった。


「でも、後宮ってどれだけ警備が厳しいのかって思ったけど……。意外と適当に入り込めるのね」


舞の率直な感想である。

だが、それを聞いたラシード王子が血相を変えて反論した。


「入り込めるわけがないだろう!?」

「だって実際あなたがいるじゃない」

「それは……」


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