琥珀色の誘惑 ―王国編―

(13)誘惑の苦い味

黒髪を数本道連れにし、舞の真横を風がすり抜けて行った。

一瞬、何が起こったのかわからない。


しかし、妙な気配に舞が振り返ると……。

たった今、舞が乗り越えた岩にミシュアル王子の放ったジャンビーアが突き刺さっている。その切っ先が貫いているのは小さなツノのある蛇。

砂漠の有毒生物として、シャムスから一番に教えられた、全長六十センチの“サハラツノクサリヘビ”と言われる毒蛇だった。


最初から変だと思うべきだった。

これほど大勢が集まり、広場を取り囲みながら……岩の周囲にはほとんど人が居なかったのだから。

夜行性の蛇は夜明けと共に、隠れる場所を求めてこういった岩場に集まるのだという。


(ターヒルのバカ! その辺は蛇がいるから危ないって言ってよ!)


舞が蛇に驚き、ターヒルに責任転嫁した数秒後……。



『ヤイーシュ! 止めろっ!』


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