琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞は言われるまま、ミシュアル王子の首に抱きついた。


顔が近づき、思わずキスされるのかと思ったが……。彼は舞の髪に頬を寄せ、溜息と共に小さな声で囁いたのだ。


「やっと……この手に取り戻した」


その心底安堵したような声に、舞は涙が込み上げる。


「アル……逢いたかった。勝手に後宮を出てゴメン……でも、怖かったよぉ……もっと早く助けに来てよぉ」

「遅くなって済まぬ。だが、二度と離れるな」


ミシュアル王子からは汗と砂の匂いがした。

その香りを嗅ぎながら、ここが一番安心出来る場所だと、舞は心に深く刻み込んだ。


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