琥珀色の誘惑 ―王国編―
彼はすぐに舞に気付き、


「どうだ? 気分は良くなったか?」


振り返りつつ優雅に微笑んだ。


「あ、うん。もう大丈夫。今の……サディーク王子?」

「そうだ。ラフマーンの協力に対して、非公式に礼を言った」

「どうして日本語で?」

「非公式の礼だからだ。多くのアラブ人は日本語が判らない。仮に理解出来ても、日本語では公式文書には載らない決まりだ」


クアルンよりラフマーンのほうがコーランには厳しくない。このホテルのフロントにも男性と女性が並んで立っていた。

女性は綺麗なエメラルドグリーンのヒジャブを被り、下は民族衣装だ。男性はワンピースタイプの白いトーブだった。

それでも公用語はアラビア語で、公文書には全てアラビア語で記載される。最近では英語での発言も認められるらしいが、日本語は論外だ。

内緒の話をするのに日本語は都合のいい言葉、ということだった。


「ねぇアル。さっき言ってた極刑って……あの男たちのこと?」

「そうだ。奴らがどんな国籍を持とうと、クアルン国内で罪を犯した以上、我が国の法律で裁かれる。裁判は速やかに行われるだろう」

「死刑になるの? それってわたしが王太子妃だから?」


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