琥珀色の誘惑 ―王国編―
彼の体も温かく、ボディソープの匂いがする。どうやらエキストラルームのシャワーを使ったらしい。


「あの……アル?」

「私の言い方が悪かったようだ。お前を悲しませるつもりも、怖がらせるつもりもなかった。ただ、あの男たちが如何に罪深いか、証明しようとしただけだ。――ラフマーンをはじめ近隣諸国と協力して、砂漠に暗躍する組織は全て摘発する。奴隷市は必ずや叩き潰す! 安心致せ」


力強いミシュアル王子の言葉に、舞は嬉しくなり……彼の背中に手を回した。胸の辺りに耳を当てると、トクントクンと心臓の音が聞こえる。

生きて戻れて良かった。あんな連中に酷い目に遭わされずに済んで、本当に良かったと思う。


「ねぇ、アル。もし、わたしが変なことされてたら……二度とアルの近くには戻れなかったのかな?」

「何を愚かな。そのような真似は私が許さぬ」

「でも、もし……」

「あり得ぬ。不届き者はこの世から即座に消え、何も起こらなかったことになる。お前にこうして触れることが出来るのは、夫である私だけだ」


シュルッとバスローブの紐が解かれ、舞の身体にミシュアル王子の唇が降り注いだ。


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