吐息が愛を教えてくれました


頭をかきながら、恥ずかしそうに俯く千早に、私は驚いて何も言えなかった。

この部屋に帰ってきてから、私が一人想像していた展開とは全く違う方向に話は進んでいくし、私が思ってもみなかった千早の真意を聞かされて、どこから整理していっていいのか……困る。

「そ、そんなに大変な実験してたの?」

「ん、データをずっと取り続けていかなきゃいけなかったから、つきっきり。
機械で済ませることができるものと、そうしたくないものがあるから、ま、仕方ないんだけど」

「で、終わった……?」

「ああ。無事に」

「……あの女の子の差し入れで乗り切ったんだ?」

「うー。これ以上いじめるなよ。確かに彼女からの差し入れは何度かあったけど、俺が口にしたのはコンビニで買ってきてくれたゼリーだけだ。で、教授の奥さんが毎日運んでくれた手作り弁当を食ってた」

信じて欲しいと、そう強く言われているような口調に、なんだかすっと心が軽くなって、私は小さく頷いた。

簡単だな、私。




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