吐息が愛を教えてくれました
私の問いにも小さく笑うだけ。
どうしたんだろう。
いつも何を考えてるのかわからない所があるから、また、私をからかうのかな、と思っていると。
私の左手、それも薬指に、ひやりとした何かが通された。
その瞬間、何が起こったのかを悟った私は、手にしていたタオルを放り投げて、左手をじっと見た。
「や、やっぱりっ。これ、エンゲージリングだ」
「……大正解。お待たせ」
薬指に指輪が通された瞬間、絶対にそうだと思った。
というよりも、そうであって欲しいと願い、そして、それは現実だった。
「実里が音々ちゃんちに逃げていた間に、注文していたお店に受け取りに行ったんだ。来年、俺が卒業をしたらすぐに結婚して欲しい」
「は、はいっ。よ、喜んで」
「くくっ……。居酒屋じゃないんだから。
……でも、おれも、喜んで、実里の旦那さんになるし、ここも、俺の愛情でいっぱいにしてやるから」
千早は私の肩を抱き寄せながら、優しく左耳を撫でてくれた。
「ちょっと、くすぐったいよ」
ふふっと笑う私を無視して私の左耳に触れ続けている千早の胸に、そっと体を寄せた。
「実里の耳を俺の愛情でいっぱいにするって言ったけど、とっくに愛情は満ちてるんだよ」
どこか余裕を感じる千早の声。