吐息が愛を教えてくれました
「どういうこと?」
「ん?この左耳は、七年前のあの事故の時に実里が助けてくれた俺の命と、この七年間の俺の愛情で埋め尽くされて聞こえないんだよ」
「えーっ。それってこじつけだよ。それに、甘すぎて怖い。千早の言葉だとは思えないよ」
「だな。だけどさ、たとえこじつけでも、そう思えば楽しくないか?恋人の命と愛情を備蓄している耳を持つ女。
……なんか、ホラーっぽいか?」
自分で言って自分で大笑いする千早につられて私も声をあげて笑った。
「これからも、この耳には愛情の備蓄を続けるから、実里は自信を持って俺に愛されてくれ。
……照れくさくない程度に、右耳にも愛情を注入してやるからさ」
そう言うと、千早は照れた顔を隠すように私を抱きしめてその顔をそらした。
背中に回された腕が私をぎゅっと抱きしめて、離さない。
あまりの強さに息もつまりそうだけど、幸せすぎてそのままにしておいた。
部屋の灯りにそっと左手の指輪をかざすと、そんなに大きくはないけど、それでも千早の愛情がつまりにつまったダイヤがきらりと輝いている。
私がこれまで悩み流した涙が凝縮したかのような、それでいてこれからも二人でずっと一緒にいることを祝福してくれるような光。
「すっごく、すっごく、幸せだね」