吐息が愛を教えてくれました



千早に抱きついた私の口から思わず出た、心からの言葉。

千早は大きく頷いたかと思うと、早速私の左耳に口元を寄せた。

千早の唇が動くのを感じて、やっぱりくすぐったい。

そして、そっと私の体を引き離して視線を合わせた千早は、いたずらっ子のような顔で首を傾げた。

「さて、俺は今なんと言ったでしょうか?」

面白がっているような声音。

私の答えをうずうず待っているような響き。

私はにんまりとした笑顔を作り、自信を持って答える。

「俺の方が幸せだ。実里のような素敵な女性と結婚できるんだから」

どうだ、正解でしょ?

と視線で聞いてみると。

ぷっと笑った千早は肩を震わせながら答えを教えてくれた。

「泣き過ぎで鼻が真っ赤だぞ。って言ったんだよ」

「鼻?え?そんなこと?愛してるとかじゃなくて?」

「そう。泣き過ぎで真っ赤。でも、かわいいよ、俺の奥様」

はははっと笑い声をあげる千早の胸を軽く一発グーで殴りながら。

私もおかしくなって、一緒に笑った。

左耳にたっぷりと備蓄された千早の愛情を感じながら。



【完】


 

☆おしらせ☆ その後のふたりを、マカロン文庫にてお楽しみいただけます。
      『吐息が愛を教えてくれました』
       に改題しています。よろしくお願いいたします。



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