アイドルな王子様
「いやいや…うん。聖夜さん、すっごく恰好良いよ! 似合ってる似合ってる!」


 噴き出した私を見て、すっかり拗ねちゃった聖夜さんが益々可愛くて、つい本音が出てしまった。

 云ってしまってからはっとして、今度は私が真っ赤になる。


「……なに赤くなってんの? 熱でもある?」



 ひえぇ この人ってば鈍感なんだ!

 まあこの場合はそのニブさに感謝しちゃうけど。


「でも、月杏も変身してるじゃない」


 聖夜さんは前屈みになって顔を傾け、私の眼を覗き込む。


 彼は、人の眼を真っ直ぐに見据えるのが癖なのだろうか?

 魅惑的に煌めくその瞳に見つめられて、どぎまぎしないひとなんてきっと居ないわ。


「似合ってるよ、ピンクのワンピース」


 ふっ、と優美な笑みを浮かべて、彼は私の耳元で囁いた。


「すごく、可愛い」



 「可愛い」なんて、ありふれたお手軽な言葉。

 でも、聖夜さんの低い掠れた声で囁かれると。



 この上もなく甘美な、とろけるような魔法の呪文だわ。






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