繋がれた糸 (短編)
「オレだってお前を忘れなきゃいけないの分かってる……でも、そんなの無理なんだ」
あたしを抱き締める腕に
力が入る。
「実沙季……」
あたしは強引な亮輔が好き。
あたしに甘い言葉をいう亮輔が好き。
強がってもあたしを想ってくれる亮輔が好き。
「……離れんなよ」
こんなに弱々しい亮輔を
あたしは知らなかった。
いつも、申し訳なさそうに
帰って行く亮輔は嫌いなのに……
あたしに初めて見せた
弱々しい亮輔の姿を
愛しいと思ってしまった……
離れないといけないのに
あたし達は求めてはいけないのに
もう、諦めたくはなかった。