花咲く原石
その指令があって良かったとすぐにオーハルは思うことになる。

なんとオーハルを最初に迎えたのは小さな女の子だったのだ。

確かに親子の監視役とは聞いていたが、まさかこんなにあどけない頃の子だとは思ってもいなかったのだ。

「だあれ?」

「あ、こんにちは。…今日から入る新しい弟子なんです。」

なんとなく敬語を使ってしまった自分に心の中で首を傾げた。

しかし、それは目の前にいるお嬢さんも同じだったようだ。

「お弟子さん?…あのおじさんはどうしたの?」

くりくりとした大きな目を何度も瞬きさせながら首を傾げた。

彼女の言う“おじさん”とは前任の監視役のことなのだとすぐに理解できる。

あのおじさんは、君のお父さんの芸術作品を懐に入れて公爵殿に首を跳ねられましたよ。

そんなこと言える筈もない。

「あのおじさんは旅に出ちゃったんだ。」

天国にね、そんな言葉を飲み込んで比較的穏やかな笑顔をしてみせた。

「だから、代わりに私が来ました。」



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