花咲く原石
そこまで口にした辺りで、彼女の奥に立つ気配に気が付いた。

恰幅のいい、豊かな髭を生やした人物が物静かにこちらを見ている。

彼がこの山小屋の住人、屋敷で説明された捕虜だと頭の中で認定した。

「初めまして、今日からお世話になります。オーハルと呼んでください。」

少女のすぐ後ろに立ち、彼女を守るように両肩を抱く彼に向けて軽く頭を下げた。

捕虜相手にこんなことを言うのも珍しいが、そもそもこの2人は特別扱いだ。

色々な設定も命じられたし仕方がない。

「オーハル?」

オーハルのとりあえずの自己紹介に先に反応したのはシイラだ。

オーハルは屈んでシイラと視線を合わせ、小さく頷いた。

「そう、オーハルです。君は?」

「シイラ。」

そう名前を告げるとシイラはニコッと笑窪を出して笑ってみせた。

そして肩にある父親の手を握って見上げる。

ダイドンはその笑顔に目を細めて答えた。



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