花咲く原石
いや、正確には手にしようとした。

でも出来なかったのだ。

「これが…。」

いくら興味がないとはいえ、それなりに貴族に仕えたりしているから装飾品を目にする機会が全くない訳ではない。

むしろ一般民よりかは多いと思うのだが、ダイドンの作品は今まで見たことがない程美しいものだった。

震えるようなため息が漏れる。

キラキラといくつもの宝石が輝いている訳ではない、しかし複雑なデザインの中には洗礼された輝きがあった。

とはいえ、宝石の輝きも見事だ。

「気に入りましたか?」

低い声がオーハルに問いかける。

「あの…これは貴方が?」

そこまで口にしてオーハルは口を紡いだ。

そんな当たり前のことを聞いてどうするのだと素早く自分に突っ込みをいれる。

1つ咳払いをすると、オーハルは改めてダイドンに向き合った。

「この宝石も貴方が加工したのですか?」

オーハルの問いにダイドンは伏し目がちに頷いて答えた。



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