嘘つきな君からのキス
「返事して」
聞こえるか聞こえないかの最小限の声。
「え?」
「早く」
急かすように言われて慌てて声のボリュームを上げた。
「せ、先生。ベッド借りてます」
「あら?その声逢坂さん?」
言いつつも足音は止まらない。此方にベッドにと近づいてくる。
嫌に心臓が早く打ち付ける。
開けないで。開けてはだめ。
「は、はい。そうです」
「大丈夫なの?」
止まらない。進む。進む。カーテンの影が段々色濃くなっていく。
「だい、じょうぶ。なので、もう少し寝かせてください」
「そう。何かあったら言うのよ」
カーテンの下の隙間から足が見えた時、動きは止まり影は薄く遠ざかって行った。