嘘つきな君からのキス


「返事して」


聞こえるか聞こえないかの最小限の声。


「え?」

「早く」


急かすように言われて慌てて声のボリュームを上げた。


「せ、先生。ベッド借りてます」

「あら?その声逢坂さん?」


言いつつも足音は止まらない。此方にベッドにと近づいてくる。

嫌に心臓が早く打ち付ける。

開けないで。開けてはだめ。


「は、はい。そうです」

「大丈夫なの?」


止まらない。進む。進む。カーテンの影が段々色濃くなっていく。


「だい、じょうぶ。なので、もう少し寝かせてください」

「そう。何かあったら言うのよ」


カーテンの下の隙間から足が見えた時、動きは止まり影は薄く遠ざかって行った。


< 118 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop