嘘つきな君からのキス
タイミングがいいのか悪いのか。現れたのはしれっとした顔の鳴瀬くん。
「あー、いっけね。邪魔しちゃったー」
タイミングが良いのにも程があって、わざとらしいにも程がある。
と言うか言葉が棒読みな気がする。
「ふー、何回も何回も割り込んでこないでよ 」
「だってー、朱さんがずっとれーちゃんの事心配してたんだもん」
れーちゃん大丈夫?と、私の顔を覗き込みにくる。
軽い調子で入ってきたけれど、眉を下げたその表情は本当に心配してくれているようだった。
体調が大丈夫ではないけれど、心配させるのは申し訳ないので、大丈夫だと答えようとした。
「大丈夫」
なのに、それに答えたのは三神くん。
「ゆずるんにはきいてなーい!」
ぷんすか怒る鳴瀬君を余所に、三神君はマイペースにベッドから降りた。
……え?