嘘つきな君からのキス


それに驚いて顔を上げると、踵を踏みつぶしたまま三神君は一歩踏み出した。


「授業、出なきゃね」


ポツリと一言零す。

三神君は言ってしまえば授業に対して真面目ではないのだけど、急に何でそんな事を言い出すのだろうか。


「あれれ?ゆずるんもしかして邪魔したから怒った?怒ったの?」

「……ふー、うるさい。行くよ」


心底鬱陶しそうに吐き捨てて、鳴瀬君の腕を引っ張り出す。

じゃあ私も……と靴を履こうとしたところで


「逢坂はいい子で寝てるんだよ」


と、まるで子供に言い聞かすように投げかけて来るから、ムッとする。

ムッとしたから反抗でもしてやろうかと思ったのに、次の一言によって思いとどまった。

やっぱり三神君はどこまでもずるい。


「ちゃんと、後で迎えに来てあげるよ」


なんて、それだけで私が大人しくしてしまうんだから。


「――うん。ここで待ってるね」



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