嘘つきな君からのキス
それから、どれだけ経ったのか。
気づけば日が傾いていて。
もう今日の授業は終わってしまっただろう。
ざわざわと廊下が騒がしい。
それに混じって鳴る、軋んだ音。ドアが開く音。
現れたのは他でもない三神君で。
「帰ろ」
一言そう言って、私に鞄を渡して、手を差し出してくる。
私はその手を取って、小さく笑った。
「何?」
「……ううん。ただ、三神君は優しいなあって」
「それくらいで優しいなんて言ってると、みんな優しいじゃん」
そんな言い方をするから、私はまた小さく笑って、手を引かれるままに歩き出した。