嘘つきな君からのキス
泣くな、泣くなと言い聞かせ、涙を拭って対処を考える。なのに彼は前触れもなく話始めるのだ。
「クラスの奴等でやる野球ってさ、アイツが言ってたみたいにデストロイなんだ」
今しなくてもいいような話。
「普通にやるときはやるのに酷いときはルール無視の点争い」
訳が分からなくて首を傾げるばかり。
「手滑ったとか足滑ったとかでランナー阻止とか当たり前」
「あ、あの……?」
「つまり、これくらいじゃ怪我の内に入らないし、逢坂が泣かなくても俺は平気」
そう言ってくれるとありがたいのに、まだ納得できないのは私が堅いからなのか。言うべき言葉に詰まってしまった。