バット・インソムニア
夢に出てくる人間は大抵見知った人物なのだが、いくら記憶を辿っても目の前の少年に行き当たらない。

夢と言うのは記憶の整理だと、昔テレビ番組で見たことがある。

だとしたら全く記憶にない人物が夢に現れるなど有り得るだろうか。

もしかすると自分では忘れているつもりで思い出せず、記憶の深い底で埋もれていた少年が思い出してくれとこうして夢に現れるのかもしれない。

どちらにせよ今の爽夏には人物が特定できず、且つその人物が金属バットを引きずって目の前に立っていることが恐ろしかった。

思い出してほしいと懇願するにしては余りにも物騒な佇まいだ。
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