ふたり。-Triangle Love の果てに
私たちは3日に1回は会うようになっていた。
ただカフェで小一時間ほどおしゃべりする。
義理の妹になる私と早く仲良くなっておきたい、そう翠さんは言ってくれた。
泰兄が香港から帰ってくる時までには、私たちはとても親しい間柄になっていた。
「勇作さんってどんな料理が好きなの?」
ある日、こう訊ねてきた翠さんの手には小さなノートとペンが握られていた。
「特に好き嫌いはなかったと思うんですけど。翠さん、兄に直接訊いたほうが早いですよ」
「できないわ、そんなこと」
「どうして?」
「だって…恥ずかしいもの」
ぷっ、と噴き出した私を真剣な目で見る彼女。
「真琴ちゃんだって相原さんに何もかも訊けた?何が好き?とか、どんな服装が好み?とか」
そう言えば私、同棲を始めてから泰兄のことを知り始めた気がする。
わざわざ訊いたわけじゃなく、なんとなくわかってきた、っていうか…
とにかく隣にいるだけでドキドキして、そんな「好き嫌い」の話題を出す余裕すらなかった。
「お兄ちゃんは卵料理が好きなんです」
カップを置くと、翠さんは早速メモを取り始める。
キャベツの千切りと天かすを炒めたものに、たっぷりの溶き卵を流し込むお好み焼き風オムレツの作り方を彼女に教えた。
「特にこれが好きなんです。ソースとマヨネーズをたっぷりかけて。毎日食べても飽きないくらい。いいことがあった日にはチーズをのせたりもするんですよ」
へぇ、と真剣な表情で左手に持ったペンを走らせる翠さん。
一生懸命にお兄ちゃんを愛してくれてるのがわかった。
だからこそ、お兄ちゃんにはぜひこの人と幸せになってほしい。
私は、心からそう祈った。