ふたり。-Triangle Love の果てに


ベッドに入って、そっとなだらかなカーブを描く腰に手を回す。


くるりと俺に顔を向けたマコは、申し訳なさそうに微笑んだ。


「ごめんなさい、今夜は…」


滅多に断ることがないだけに、俺は訊いた。


「体調でも悪いのか」


一瞬生理かと思ったが、あえてオブラートに包んだ言い方をする。


以前「生理か」と言って露骨に嫌な顔をされ、「デリカシーのない人ね」と機嫌を損ねてしまったことがあったからだ。


「ちょっと最近疲れやすくて。微熱もあったりして…風邪かしら」


その白い額に手をやると、熱い…気もする。


「薬は?」


「明日シトラスのバイトの前に買って飲むわ」


「それより前に勝平に買いに行かせろ」


「できるわけないでしょ。召使いじゃないんだから」


「早めに医者に診てもらえよ」


そう言って口づけしようとすると、ケットを口元まで持ち上げマコは目を三日月のように細めた。


「だめよ、伝染るわ」


「大丈夫だ」


無理矢理ケットを剥がし取ると、俺は強引にキスをした。


長い間、唇を重ねる。


途中マコが「もうだめ、本当に風邪が伝染っちゃう」と身体をよじらせて俺の唇から逃げだそうとしたが、許さなかった。


「かまわない」


再び、長いキスを繰り返す。


そうすることで俺自身の胸騒ぎをかき消そうとしていた。


原因は勇作だ。


あいつがマコをあきらめて、違う女とあっさり結婚するわけがない。


考えれば考えるほど、その思いは強くなる。


一体何を考えてるんだ…


マコに危害を加えるようなことはさすがにしないだろうが、注意せねばならない。


ようやく自由になったマコは、俺の胸に頭をもたげながら「明日は仕事はお休み?」と訊いてきた。


「いや、午前中には出る」


「そう、じゃあ明日は少ししか一緒にいられないわね。私は午後から仕事だし、帰ってくるのは明け方だし」


寂しそうに笑うマコを抱き寄せると、俺は何度も波打つ髪をすくっては指の合間から滑り落とした。


やがて微かな寝息が聞こえ始める。


珍しいな…


いつもはずっとしゃべっていて、俺を寝かせないくらいなのに。


よほど体調が悪いのか。



だが月明かりの中で見る彼女は、いつもと変わらず美しかった。


俺も目を閉じる。


だが眠れそうにはなかった。

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