無口な彼が残業する理由 新装版
青木の顔が近い。
「遠慮しないって、何する気?」
不適な笑みで
「さあな」
なんて言われると不安になる。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
どうして私なんか好きになったんだろう。
隣の席にいても飲みに行っても、
そんな素振り少しも見せなかったのに。
私もさっき青木が言ってたように
楽しく仕事ができたらいいなって
思ってたのに。
こんな風に迫られたら、一緒に仕事ができる自信がない。
「そんな顔すんなよ。別に急に襲ったりしないから」
「この体勢でそんなこと言われても、説得力ないし」
顔は触れ合えるほど近く、体は密着。
更に青木の膝は私の足の間に割って入っている。