無口な彼が残業する理由 新装版
「そうか?」
「そうよ。退いてよエロ青木!」
「ははは、良いね、この態勢」
困惑している私を楽しむ青木。
ごく自然にこの態勢に持ってきた。
単純バカだと思っていたけど、案外曲者かもしれない。
能ある鷹は爪を隠すって言うし。
青木はこんなに近くにいながら、私に気持ちを悟らせなかった。
「いっそのこと襲っちまうか」
余裕の表情で私をどんどん追いつめていく。
「会社で何考えてんのよバカ!」
「そんな顔もそそるね」
ダメだ。
上半身も下半身も、青木にロックされている。
タダでは逃げられない。
「なぁ、神坂」
「何よ変態」