無口な彼が残業する理由 新装版
「ごめんね、忙しいよね」
私は無理に笑顔を作った。
「また今度で良いよ」
そして丸山くんに背を向ける。
逃げるようにその場を去った。
無口で無表情で無愛想。
だけど優しくしてくれた丸山くんには、温かさを感じていたのに。
ダメなんだ。
私は青木に好かれているというだけで、
もう話さえしてもらえないんだ。
やめよう、丸山くんを好きでいるのは。
そもそも私は単純すぎたんだ。
荷物を持ってくれただけで好きになるなんて、
惚れっぽいにも程があったんだ。
席に戻って感情を落ち着ける。
丸山くんの方を向きたくなくて青木に目を向けると、
青木も真面目に仕事をしていた。