無口な彼が残業する理由 新装版

普段より頼りない足取りでエレベーターまで行くと、

退社する他部署の女子社員が楽しそうに笑っていた。

話題はどうやら昼間に食べたランチのことらしい。

きっと普通のOLはこんな感じなのだ。

なるべく定時で仕事を終わらせて夕方から夜の時間を楽しみ、

ランチやお洒落に敏感で、キラキラしてる。

そんなキャピキャピOLになりたかったわけではないけれど、

自分の夢ばかりに集中して女子力どころか恋愛スキルさえ落ち込んでしまった自分が

たまにとてもみすぼらしく感じる。

こんな私のどこが良かったんだろう。

青木はいつだって、

「女らしくねーな」

「よっ! 男前!」

なんて言ってたのに。

青木が別の人を好きだったら良かったのに。

丸山くんだって、別の人を好きだったら良かったのに。

私だって――……。

< 112 / 382 >

この作品をシェア

pagetop