無口な彼が残業する理由 新装版

徹底的に練り上げてきた企画だ。

私なら、何でも説明することができる。

プレゼンで使う企画書は私が提出したものをそのまま使い、

プロジェクターでスクリーンに映し出す映像は課長が準備してくれることになった。

普段は私に厳しいチャラメガネ課長でも、

こういう時は頼らせてくれるありがたい存在なのだ。

「それで、プレゼンの日時は?」

「明後日だ」

「明後日!」

課長が協力してくれてよかった。

映像まで私が準備することになれば、

きっと明後日まで家に帰らず徹夜でやらないと間に合わなかっただろう。

明後日か。

それまでに心の準備が出来るだろうか。

夢が叶うまで、後少し。

緊張するなぁ。

メーカーの広報さんに会うのは慣れているけれど、

うちの会社の重役と話をするのは入社試験の最終面接ぶりだ。

< 189 / 382 >

この作品をシェア

pagetop