無口な彼が残業する理由 新装版
昼食を終えて、トイレのパウダースペースでメイク直しをしていると、
「神坂ぁ」
後ろから声がした。
菊池さんだった。
今日も大きめのピアスが光っている。
「あんた、今度青木と浮気旅行するんだって?」
冷やかすときの悪い笑顔をしている彼女はとても楽しそうだ。
一体何を期待しているのか。
「人聞きの悪いこと言わないで下さい。仕事ですよ、仕事」
まったく、情報が早いんだから。
どれだけ耳が大きいんだ。
「おたくの課長も人が悪いよね。わかってて青木を同行させるんだから」
「別に、青木が暇だっただけですよ」
菊池さんは隣でリップグロスを塗り始めていた。
「ところで神坂」
「なんですか?」
「あんたと丸山、上手くいってんの?」