甘恋集め

竜の手が私の背中をぽんぽんとたたいてくれる。

私が落ち込んだ時にはいつもこうして抱き寄せてくれてたたいてくれた。

『心配するな』『絶対大丈夫』『俺がついてるから』

後ろ向きにしか考えられない私の気持ちを上向きに変えてくれるように、その手から注がれる愛情を、私は竜から何度も与えられていたのに。

「忘れてしまって、竜を一人ぼっちにしてごめんね」

私自身が、私自身を守るために、思い出しそうになる度に逃げていた。

「竜の事、放っておいてごめんなさい。思い出せなくてごめんなさい」

竜の背中に両手を回してぎゅっと抱きしめた。

「もう離れたくないよ。ずっと一緒にいたいよ」

竜にひどいことをしたとわかってる。竜一人に寂しさを背負わせてきたと知ってるけれど、それでももう、離れたくない。

高校生だったあの頃に戻りたい。

二人しか存在しなかったあの頃に戻って、大切なこの四年間をもう一度やり直したい。

それが無理だとわかっているから、悲しくて。



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