甘恋集め
「俺、寂しくなかったと言えば嘘になるけど、いつかは梅の記憶が戻って俺のところに戻ってくるって、根拠なく信じてたな」

「ん……」

竜の胸に抱きしめられて、その声の響きを感じる。

「梅がちゃんと生きて笑っている事に感謝しながら、遠くから見てたんだけど、お前、気づかなかったよな」

「見てた?」

「そう。高校の卒業式も、梅のご両親にお願いして一緒にいたし、大学時代も梅の様子を見にいろいろ出かけたな」

軽く言ってる竜の言葉だけど、冗談には聞こえなくて、ゆっくりと顔を上げた。

見上げた先にあったのは、泣き笑いとも見える竜の眼差し。

私の髪を梳きながら、肩をすくめると、

「まるでストーカーじゃないかって思えるくらいに梅の周りに出没してた」

「い、いひゃい……」

突然竜が私の頬をつまんで引っ張った。

痛くて、たまんない。
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