コイン★悪い男の純情
「本当に何もして下さらないのですか」
「ええ、何もしないと約束しましたからね」
「私ってそんなに魅力がございませんの」
「そんな事はありませんよ。だけど、今日は僕の我ままにさせて下さい」
「そんな約束なんか、破って下さればいいのに。仕方がございませんわ」
二人は沈黙のままホテルを出た。
純一は地下鉄御堂筋線の梅田駅まで芳恵を送った。その間、芳恵は一言も語らなかった。
芳恵は改札口と通ると心なしか寂しそうに去って行った。
(深い関係になると、もっともっと辛くなる。勘弁しろよ・・・。本当にありがとう。元気でな。妹の真美恵には気を付けなよ。じゃあな)
純一はちょぴり不満そうな芳恵の背中に向かって、心の中で呟いた。
この瞬間から、純一は芳恵の前から姿を消した。
芳恵はカメオのペンダントを見ながら涙を流していた。
涙が次から次から頬を伝う。
まるで泉のように、涙が体の奥から湧いて来る。
芳恵の目は少し腫れていた。
純一から1週間以上連絡は無かった。
もう、電話は掛かってこない予感が、芳恵の胸を張り裂いた。
「あの時、なぜ抱いて下さらなかったの」
「電話はなぜ下さらないの」
「真美恵の事が原因なの」
芳恵が幾ら質問をしても、答えは返って来なかった。
芳恵は、突然姿を消した純一が忘れられなかった。
恋しさと切なさの余り、芳恵は純一を恨みがましく思っていた。しかし、警察に訴える気は髪の毛の1本も無かった。
「ええ、何もしないと約束しましたからね」
「私ってそんなに魅力がございませんの」
「そんな事はありませんよ。だけど、今日は僕の我ままにさせて下さい」
「そんな約束なんか、破って下さればいいのに。仕方がございませんわ」
二人は沈黙のままホテルを出た。
純一は地下鉄御堂筋線の梅田駅まで芳恵を送った。その間、芳恵は一言も語らなかった。
芳恵は改札口と通ると心なしか寂しそうに去って行った。
(深い関係になると、もっともっと辛くなる。勘弁しろよ・・・。本当にありがとう。元気でな。妹の真美恵には気を付けなよ。じゃあな)
純一はちょぴり不満そうな芳恵の背中に向かって、心の中で呟いた。
この瞬間から、純一は芳恵の前から姿を消した。
芳恵はカメオのペンダントを見ながら涙を流していた。
涙が次から次から頬を伝う。
まるで泉のように、涙が体の奥から湧いて来る。
芳恵の目は少し腫れていた。
純一から1週間以上連絡は無かった。
もう、電話は掛かってこない予感が、芳恵の胸を張り裂いた。
「あの時、なぜ抱いて下さらなかったの」
「電話はなぜ下さらないの」
「真美恵の事が原因なの」
芳恵が幾ら質問をしても、答えは返って来なかった。
芳恵は、突然姿を消した純一が忘れられなかった。
恋しさと切なさの余り、芳恵は純一を恨みがましく思っていた。しかし、警察に訴える気は髪の毛の1本も無かった。